ご 挨 拶



成年後見センターNPO法人あい愛サポート

代表理事 野田 昌利





NPO法人あい愛サポートは、行政書士の有志により平成14年11月に研究会として発足し、その後平成16年3月にNPO法人化しました。

これまで、福岡市及びその周辺市町村を主な活動拠点として、「成年後見制度」の普及啓発をはじめ、制度の利用相談や利用に関しての支援、後見人候補者の育成研修、斡旋などの活動を行ってきました。

設立当初はまだ成年後見制度の認知度は低く、ご存じない方がほとんどでしたが、最近は、「後見人制度の利用について詳しく聞きたい」、関東に在住のご親族から、「福岡の叔母に後見人をつけたいが」など、この制度についての周知の程度が進んでいることを伺わせる相談が増えています。

第三者として「後見人になる」というのは、実際はご本人のその後の人生に終生寄り添うことを意味します。平成12年4月にできた新しい成年後見制度では、後見人には、本人の「意思の尊重」や「心身の状態」、「生活の状況」に配慮する義務が課されました。

このことにより、第三者後見人は通帳等の財産管理や法的な問題解決だけではなく、ご本人が生活に満足されているか、困ったことはないか、訪問販売で騙されたり健康上の問題はないか、施設での処遇に問題はないか、月々の収入・支出、役所の手続等々多岐に亘って配慮が必要で、日々必要な手配や事務を行っています。

そして家族・親族との絶縁、身寄りのない方の終末期では、場合によっては家族以上のことも背負わなければなりません。亡くなられた後は葬儀・納骨、役所の手続、家財道具の処分などのお世話をすることもあります。

この制度の目的は、後見人が、ご本人の最善の利益(財産・権利)を護り、たとえ認知症等の障害があっても自分らしい生活を安心して送れるよう支援することにあります。この制度に取り組みを始めた頃は、生前の財産管理だけが職務であるかのように考えていましたが、社会のニーズはもっと先にありました。

今やこの制度の守備範囲は、生前から死後にまで及びつつあります。市民後見人の制度普及が叫ばれる中、専門職による制度の受け皿はどこまで充実したと言えるのでしょうか。私たちは発足以来の継続的な研修による研鑽と、医療、福祉、介護等の専門職従事者の方々との連携により、地域に愛される質の高い後見人候補者の育成と、法人自らの後見人就職により、専門職後見人としての役割を果たし、地域の高齢者、障がい者の方々が安心して暮らせる社会の実現のために活動して参ります。